イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す
 
 「上等だ。それなら俺のこと誰にも渡すなよ。お前の気持ちはよく分かった。好きなだけ働いて、浮気できるもんならしてみるんだな。俺がお前の周りを囲い込んでやる。男の影が見えたら踏み潰すからそのつもりでいろよ。俺の妻になったこと、絶対後悔させないから安心しろ。そして今度こそ俺の妻で幸せだったと泣きながらこの世を去るまでお前を可愛がってやるよ」

 そう言うと私を抱き寄せて、じっと見つめると顎を捉えてキスをした。
 梅の香り。そして、侍従の香り。

 キスをした瞬間、ふたりの中には昔の記憶が蘇り、お互いを深く愛しているという気持ちに包まれた。
 人目も気にせず、何度もキスをしてそのままふたりでひとりになってしまいそうな感覚に堕ちた。

 最後にはどんな人生を終えるのかまだわからない。

 でも、お互いを信じて愛し合えば大丈夫、我慢しないできちんと向き合ってねと前世の女性が紫に話しかける。
 子供を大切に。私の分も仕事や子育てを楽しんでねと言っている。

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