イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す

 病院とは思えないような、絨毯のうえを歩いて行く。

 「綺麗な病院ですね」

 私が感極まって話すと、彼女はそうねと呟いた。

 応接室という札の出た部屋を入ると、立派なサイドボードや調度品、革張りソファと大理石のようなテーブルが迎えてくれた。
 目を見張る。落ち着いた調度品なので、華美な感じはしないのに、どこか上品で重厚感がある。
 センスの問題かも知れない。ちょっと、柏木の院長室と比べてしまった。

 「どうぞ、かけてちょうだい」

 そう言われて、借りてきた猫のようにおそるおそる黒いソファにすわる。
 すごい。なんていうか、雲の上に座っているみたい。

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