イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す
「とんでもないわ。兄は親の手前あなたのお母さんと一緒になれなかった。でも別れてからお腹にあなたがいることに気付いたお母さんは黙って一人で産んで育てようと決めていたみたい。それに気付いた両親がすぐに今の奥さんを紹介してこんなことに。私はあなたのお母さんを尊敬しているの。素敵な人よ。あなたもとても可愛かった。生まれたときに見に行ったわ」
私は初めて自分がどういう状況にいたのかやっとわかった。
母には父のことを聞いてはいけないという雰囲気が小さいときからあり、母を悲しませたくないので一切聞かないと決めて今まで来た。
叔母さんの存在を教えなかったのもきっと叔母さんを思ってのことだったに違いない。父方の祖父母にとっては私は孫だけど、いらない孫で、知られるのは良くないと私のために隠していたのだろう。
私が下を向いて考え込んでいるのを見た叔母は、静かに話し出した。
「ごめんなさいね。こんなこと耳にいれたくなかった。ショックだったわよね。でもお母さんが具合悪いのに一人で頑張っているのを聞いてもう黙っていられなかったの。今度は私の出来ることを親族としてさせてほしい。紫ちゃんはどこか私に似ている。あなたを悲しませたくない」