変 態 ― metamorphose ―【完】
四十九日の法要は全身が溶けそうなほど暑く、有終の美を飾ろうとする蝉たちが鳴きわめく日に執り行われた。

あたし、あっちゃん、チカくん、そして八重子さん。
まさかこのメンバーで自分の四十九日が行われるなんて、ママは思いもしなかっただろう。


――じゃあ、私はここで。


八重子さんは納骨が終わるなり、帰ると言い出した。
この後は会食があると言っても聞かず、ふくらみのある香典を押しつけるように渡して帰ってしまった。
人を寄せつけない、しゃんとした後ろ姿で。


「本当に、あの(ひと)はなんなの」

会食の席につくなり、あたしは頭を抱えた。
お疲れ様、とチカくんが穏やかに微笑む。

あっちゃんが手配してくれた料亭はこじんまりして、こういう場に慣れていないあたしでも肩肘を張らずにいられた。
開放感のせいか、茶わん蒸しがやけにおいしい。
疲れた身体を出汁がぐるりとあたためる。
< 174 / 286 >

この作品をシェア

pagetop