変 態 ― metamorphose ―【完】
チカくんと毎週のように会っていることもそうだし、綴と恋人になったことだってそう。
ママが生きていたらチカくんと会っていたかわからないし、あの谷間丸出しの女の子がいなかったら、綴があたしの隣に座っていたかもわからない。
もし、ママを交えてチカくんと会っていたら、あたしがチカくんに抱く感情はもっと別のものだっただろうか。
ぼんやり考えていると、仲居さんが甘未とお茶と持ってきた。
夏季限定の文字につられて注文した羊羹は、夏の夜空を閉じ込めたようにつやつやと青くひかっていた。
青い食べ物って、これまでに食べたことあったかな。
切った断面をしげしげ眺めてから、口にふくむ。
「へえ、味は普通に羊羹なんだ。どうやってこんな色をだしてるんだろう」
そう言ってあたしがまた羊羹を眺めていると、チカくんはバタフライピーかな、とつぶやいた。
「バタフライピー?」
「ハーブ。青い紅茶って見たことないかな」
そういえば、かえちゃんが前に写真を見せてくれたことがある。
透明のグラスに注がれた青い紅茶は、雨に濡れた紫陽花のように神秘的で、まるで異世界の飲み物のようだった。
ママが生きていたらチカくんと会っていたかわからないし、あの谷間丸出しの女の子がいなかったら、綴があたしの隣に座っていたかもわからない。
もし、ママを交えてチカくんと会っていたら、あたしがチカくんに抱く感情はもっと別のものだっただろうか。
ぼんやり考えていると、仲居さんが甘未とお茶と持ってきた。
夏季限定の文字につられて注文した羊羹は、夏の夜空を閉じ込めたようにつやつやと青くひかっていた。
青い食べ物って、これまでに食べたことあったかな。
切った断面をしげしげ眺めてから、口にふくむ。
「へえ、味は普通に羊羹なんだ。どうやってこんな色をだしてるんだろう」
そう言ってあたしがまた羊羹を眺めていると、チカくんはバタフライピーかな、とつぶやいた。
「バタフライピー?」
「ハーブ。青い紅茶って見たことないかな」
そういえば、かえちゃんが前に写真を見せてくれたことがある。
透明のグラスに注がれた青い紅茶は、雨に濡れた紫陽花のように神秘的で、まるで異世界の飲み物のようだった。