変 態 ― metamorphose ―【完】
「無理だよ。かえちゃん、待ってるんだから」
「したくない?」
「そういうことじゃなくて」
「じゃあ、せめてあと五分」
「無理」
きっぱりと断ると、綴はあたしのジーンズを人質のように羽交い絞めにした。
いくら夏だからといっても、キャミソールとパンツいっちょで外に出ては秒で逮捕される。
「返してよ」
「だって、会うのひさしぶりじゃん」
綴と出会ってから、一週間以上会わないのははじめてのことだった。
たとえ短い時間でも週に一度は会っていて、それが当たり前になっていた。
「ひさしぶりなのは、綴が忙しいからでしょ」
「でも、先に約束してたのは俺じゃん」
「それは……。そうだけど……」
「三分。三分でいいから」
化粧直しは諦めよう。
ベッドにぽすんと身を投げた。
綴はジーンズを放り、あたしの身体を覆うように被さってくる。
身動きがとれない。
なんてしあわせな拘束だろう。
綴はこうやってなにをするでもなく、ただ身体と身体をぴたりと重ね合わせるだけでもうれしそうにする。
「したくない?」
「そういうことじゃなくて」
「じゃあ、せめてあと五分」
「無理」
きっぱりと断ると、綴はあたしのジーンズを人質のように羽交い絞めにした。
いくら夏だからといっても、キャミソールとパンツいっちょで外に出ては秒で逮捕される。
「返してよ」
「だって、会うのひさしぶりじゃん」
綴と出会ってから、一週間以上会わないのははじめてのことだった。
たとえ短い時間でも週に一度は会っていて、それが当たり前になっていた。
「ひさしぶりなのは、綴が忙しいからでしょ」
「でも、先に約束してたのは俺じゃん」
「それは……。そうだけど……」
「三分。三分でいいから」
化粧直しは諦めよう。
ベッドにぽすんと身を投げた。
綴はジーンズを放り、あたしの身体を覆うように被さってくる。
身動きがとれない。
なんてしあわせな拘束だろう。
綴はこうやってなにをするでもなく、ただ身体と身体をぴたりと重ね合わせるだけでもうれしそうにする。