変 態 ― metamorphose ―【完】
半疑問形で返されたり、ピンポン玉のラリーのように即座に返されたり。
なんだか、綴がつかめない。
かえちゃんと会うのは別の日にした方がよかったのかもしれない。
「じゃあ、帰るね」
後ろ髪を引かれながら玄関に向かおうとすると、とつぜん綴がむくりと起き上がった。
「どうしたの?」
綴は眉を下げ、躊躇いがちに口をひらいた。
「もうちょっと、待ってて……」
縋るような瞳に、胸がさざめいた。
待つって、いったいなにを?
困惑していると、綴はすぐに笑顔になって「かえちゃんによろしく。俺に貸しつくったってこと、しっかり言っておいて」といつもの調子で言った。
あたしは、なにを待てばいいんだろう。
綴から借りたTシャツは肩も袖も思っていたよりぶかぶかで、抱いてしまったわだかまりは、黒いTシャツのなかをゆらゆらと揺蕩った。
なんだか、綴がつかめない。
かえちゃんと会うのは別の日にした方がよかったのかもしれない。
「じゃあ、帰るね」
後ろ髪を引かれながら玄関に向かおうとすると、とつぜん綴がむくりと起き上がった。
「どうしたの?」
綴は眉を下げ、躊躇いがちに口をひらいた。
「もうちょっと、待ってて……」
縋るような瞳に、胸がさざめいた。
待つって、いったいなにを?
困惑していると、綴はすぐに笑顔になって「かえちゃんによろしく。俺に貸しつくったってこと、しっかり言っておいて」といつもの調子で言った。
あたしは、なにを待てばいいんだろう。
綴から借りたTシャツは肩も袖も思っていたよりぶかぶかで、抱いてしまったわだかまりは、黒いTシャツのなかをゆらゆらと揺蕩った。