変 態 ― metamorphose ―【完】
***
混雑したコーヒーチェーン店で、やっと空いたのは横並びの席だった。
正面がガラス張りになっているので、街を行き交う人たちがよく見える。
こんなに暑いのに、みんななにをしにわざわざ渋谷まで来るんだろう。
自分だって暑いなかここまで来たのに、こうも人があふれていると、ついこんなことを考えてしまう。
「急に呼び出しちゃって、ごめんね。綴さん、怒ってなかった?」
かえちゃんはストローでキャラメルフラッペをぐるんぐるん回しながら訊いた。
この暑いのに、なぜか長袖を着ている。
薄手とはいえ暑くないのかと訊いたら、「圭くんは色白の子が好きだから」と満面の笑みで返された。
かえちゃんらしいな。
かえちゃんは好きになった人に、とても真っ直ぐだ。
「綴のことは平気。それより、どうしたの。会って話したいことがあるって」
葛見さんのことだ、きっと。
どうせまた女の人を自分のアパートに連れ込んだに違いない。
さすがに二回目ともなれば、かえちゃんだって呆れたんだろう。
いよいよ別れることを考えているのかもしれない。
混雑したコーヒーチェーン店で、やっと空いたのは横並びの席だった。
正面がガラス張りになっているので、街を行き交う人たちがよく見える。
こんなに暑いのに、みんななにをしにわざわざ渋谷まで来るんだろう。
自分だって暑いなかここまで来たのに、こうも人があふれていると、ついこんなことを考えてしまう。
「急に呼び出しちゃって、ごめんね。綴さん、怒ってなかった?」
かえちゃんはストローでキャラメルフラッペをぐるんぐるん回しながら訊いた。
この暑いのに、なぜか長袖を着ている。
薄手とはいえ暑くないのかと訊いたら、「圭くんは色白の子が好きだから」と満面の笑みで返された。
かえちゃんらしいな。
かえちゃんは好きになった人に、とても真っ直ぐだ。
「綴のことは平気。それより、どうしたの。会って話したいことがあるって」
葛見さんのことだ、きっと。
どうせまた女の人を自分のアパートに連れ込んだに違いない。
さすがに二回目ともなれば、かえちゃんだって呆れたんだろう。
いよいよ別れることを考えているのかもしれない。