変 態 ― metamorphose ―【完】
「同じ大学の人なんだけど、みんなでテーマパークに行ったときに、他の人たちとはぐれちゃってさ。ふたりでいろいろ話してるうちに、話しの流れで圭くんのことを相談したら、すごく真剣に聞いてくれたんだよね。そしたらなんか、おはようとか、ちょっとしたメッセージが送られてくるだけで、うれしくなっちゃって」

だけど、顔がぜんぜん好みじゃないんだよね。
かえちゃんは辛辣な一言で締め括って、ふたたびキャラメルフラッペを飲んだ。
あたしは微動だにせず、ただその姿をじっと眺めていた。

「いち花、どうしたの。固まっちゃって」

「いや、だってびっくりしちゃって」

「弱ってるときにやさしくされたら、その人がよく見えちゃうよね。タイミングって、やっぱりあるんだなあって思った。あとね、いっしょにジェットコースターに乗ったのもまずかったんだと思う。よく言うでしょ、吊り橋効果って」

「ああ、いっしょに怖い体験をすると恋愛感情を持ちやすいとか、好きって誤解しちゃうとか、そんなやつだっけ」
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