変 態 ― metamorphose ―【完】
夕暮れ色に染め上げられたうろこ雲を眺めながら、チカくんと近所を歩いた。
今日も身ひとつだけ。足取りが軽い。
「今日はあんまり猫いないね」
つぶやくと、チカくんは「ごはんどきだからかな」と言った。
猫たちが集まって夕ご飯を食べている姿を想像すると、なんともほほえましい気持ちになった。
「いいな、猫」
ぽつりとこぼすと、チカくんが「飼いたいの?」と訊いた。
「いたらいいなって思うけど、うちじゃ飼えないよ。飼うならちゃんと、もっとスペースがあるところじゃないと」
そうじゃないと猫がかわいそうだ。
飼うのなら、この家の子になってよかったと思われるくらいじゃないと釣り合いがとれない。
あたしだけが猫に癒されるような関係なんて、そんなのは嫌だ。
ふと、チカくんの方を見ると、なにか考えるように遠くを眺めていた。
「チカくん?」
「ごめん、なんでもない。ところでいち花、なにが食べたい? イタリアン、中華、和食……。あ、ラーメンがいいかな」
「おいしいラーメン屋さんでもあるの?」
今日も身ひとつだけ。足取りが軽い。
「今日はあんまり猫いないね」
つぶやくと、チカくんは「ごはんどきだからかな」と言った。
猫たちが集まって夕ご飯を食べている姿を想像すると、なんともほほえましい気持ちになった。
「いいな、猫」
ぽつりとこぼすと、チカくんが「飼いたいの?」と訊いた。
「いたらいいなって思うけど、うちじゃ飼えないよ。飼うならちゃんと、もっとスペースがあるところじゃないと」
そうじゃないと猫がかわいそうだ。
飼うのなら、この家の子になってよかったと思われるくらいじゃないと釣り合いがとれない。
あたしだけが猫に癒されるような関係なんて、そんなのは嫌だ。
ふと、チカくんの方を見ると、なにか考えるように遠くを眺めていた。
「チカくん?」
「ごめん、なんでもない。ところでいち花、なにが食べたい? イタリアン、中華、和食……。あ、ラーメンがいいかな」
「おいしいラーメン屋さんでもあるの?」