変 態 ― metamorphose ―【完】
あたしはちいさく思い出し笑いをしてからチカくんの家のチャイムを鳴らした。
扉の向こうからは「ああ」だとか「ああ、もう」だとか、困惑の声が聞こえる。
片付けが終わらないんだろうか。
しばらくしてから扉が開くと、なぜか玄関を上がってすぐの辺りに子どもの背丈ほどの柵が立てられていた。
「いらっしゃい。ごめん、待たせちゃって」
「ううん。それよりチカくん、その柵はどうしたの?」
チカくんは「すぐにわかるよ」とだけ言って子どものようにはにかんだ。
いったいなんだろう。
不思議に思いながらリビングへ進むと、その理由がすぐにわかった。
「チカくん! この子、どうしたの?」
世界中のアンラッキーを集結したように不機嫌な顔をした猫は、あたしの声にはまったく動じず、まん丸いペットベッドからしげしげとこちらを眺めた。
サファイアブルーの瞳にミルク色の毛。
シャム猫のように見えるけど雑種なのだとチカくんが教えてくれた。
「知り合いが飼い主を探していて、譲ってもらったんだ。だけどすぐに脱走しようとするから、さっきもなかなか玄関を開けられなくて」
扉の向こうからは「ああ」だとか「ああ、もう」だとか、困惑の声が聞こえる。
片付けが終わらないんだろうか。
しばらくしてから扉が開くと、なぜか玄関を上がってすぐの辺りに子どもの背丈ほどの柵が立てられていた。
「いらっしゃい。ごめん、待たせちゃって」
「ううん。それよりチカくん、その柵はどうしたの?」
チカくんは「すぐにわかるよ」とだけ言って子どものようにはにかんだ。
いったいなんだろう。
不思議に思いながらリビングへ進むと、その理由がすぐにわかった。
「チカくん! この子、どうしたの?」
世界中のアンラッキーを集結したように不機嫌な顔をした猫は、あたしの声にはまったく動じず、まん丸いペットベッドからしげしげとこちらを眺めた。
サファイアブルーの瞳にミルク色の毛。
シャム猫のように見えるけど雑種なのだとチカくんが教えてくれた。
「知り合いが飼い主を探していて、譲ってもらったんだ。だけどすぐに脱走しようとするから、さっきもなかなか玄関を開けられなくて」