変 態 ― metamorphose ―【完】
「いち花って、こういうことする人だったんだね」

そうつぶやいた声には、涙と照れくささがにじんでいた。

かえちゃんのパープルの髪は根元がだいぶのびて黒くなっていたけど、ふわりと漂うコットンキャンディーを煮詰めたような甘い香りはやっぱりかえちゃんらしくて、少しだけほっとした。


あたしの胸のなかで、かえちゃんは少しずつ打ち明けてくれた。

葛見さんが不機嫌になると手をあげること。
一回二回なんてものじゃなくて、何度も浮気をされていること。
貸したお金をまったく返されていないこと。

そして今日は一段と怒りを爆発した状態でかえちゃんの家にやって来て、こうなったということ。

「あ、そうだ。綴さんの話……。もしかして綴さんから、もう聞いてる?」

「聞いてるって、なにを」

「圭くんね、綴さんを紹介するのと引き換えに、女の子からお金を受け取ってたみたい。紹介っていってももちろんデートとかじゃなくて、綴さんが来る飲み会に呼んであげるから……っていう、そういうやり方で」

「それって……。綴は」
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