変 態 ― metamorphose ―【完】
「チカのこと、気にかけてくれてありがとう。まさかチカが輝子とこっちで再会してたなんてね」

「あっちゃんも、ふたりが会ってたことは知らなかったんだっけ」

「うん。チカから、輝子さんとずっと連絡がとれないんです! って電話がきたときはびっくりした。私の実家に電話して、私の携帯番号を訊いたみたいだけど、あのチカにそんな行動力があったとはね。それに、あんなに動揺して」

「……あのさ、あっちゃんに訊きたいことがあるんだけど」

そう切り出すと、あっちゃんは手にしていたグラスをテーブルに置いた。

「チカくんがね、ママとつき合ってなかったって言うんだけど、しょっちゅう会ってたみたいだし、少なくともチカくんはママのこと好きだったと思うんだけど」

「ああ、それはそうだろうね」

あっさりと認められた。
隠すつもりなんてまったくない、さっぱりとした顔で。
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