変 態 ― metamorphose ―【完】
ソフトクリームみたいな雲がスカイブルーに浮かぶ。
夏休みの小学生たちはやたらと元気で、この子たちに発電機をくっつけたら夏の間の電気はじゅうぶん賄えそうだ。

永遠に明日がつづくような、曇りのない笑顔。
黄金色の肌の上を、きらきらと汗が滑り落ちる。

空を仰げば太陽のにおいがして、背骨に沿って汗が一直線につうっと流れた。
お尻の上の窪みで止まって、じわっとワンピースに染みこむ。

強すぎる日差し。
一瞬だけ暗転してから、くらりと眩暈を覚えた。


会いたい。綴に会いたい。

会って抱き合って、ぐちゃぐちゃになりたい。


夏の世界は爽やかで明るいエネルギーに満ち満ちていて、あたしにはあまりに苦しい。

明日はライブだから、今日はスタジオに入ってるかもしれない。
だけど、誘うだけ誘ってみようか。
断られたら、さくっと電話を切ればいい。

綴になんて言おうか、頭の中で台詞(セリフ)を探す。
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