イケメン外科医が激しく寵愛してきます。【メイン更新中】
「いらないです」
五十嵐先生の白衣のポケットの中に戻す。
女に飢えているわけではないけれど、特別そういう相手がほしいとは思わない。俺は生半可な五十嵐先生とは違う。
「なあ、久我。おまえこっちきて1年だよな」
五十嵐先生は何かを思い出したように語りかけた。
「そう、ですけど」
「去年と比べてヘルツのオペの件数は増えたか?」
「それは……それほど多くは増えてませんが」
……曖昧にしか答えられなかった。
オペの件数はあまり増えてはいない。けれど、話ではこれから増えるという予定だったはず。バツが悪そうな表情をする五十嵐先生。「やっぱりな……」と、意味ありげな言葉を呟いた。
「おまえ名目はヘルツのオペ症例の実績ってことになってるが、ここに飛ばされてんだよ」
「……は?」
「MSFから帰ってきて腕上げまくったことによっての他の外科からの嫉妬だな。久我の出世を食い止めるために仕組まれたんだよ。久我がどれだけ頑張っても本院に戻るのは無理だろうな」