イケメン外科医が激しく寵愛してきます。【メイン更新中】
テレビ電話に切り替え、スピーカーをオンにしながら、鉢目先生に確認してもらいつつ進める。
開腹をするのは最小限にしてあげたいが、S状結腸ならそうもいかないのが歯痒い。メスをへそから下腹部まで動かす。
「うっぷ……」
岩本くんは俺よりも額に汗をかきながらガーゼで血を押さえてくれていた。
「岩本くん、大丈夫?」
「あ、はい。すみません、緊張しちゃって」
岩本くんの手が震えている。外科志望じゃないかもしれないのに、無理やり引っ張ってきて悪いことをした。岩本くんはもう外科医を目指したいと思わないかもしれないな、などとぼんやり思いながら、鉢目先生の指示通りに電気メスで止血させていく。
「ぐっふ。ううっ、すみません。に、においが…」
岩本くんはもう限界に近いが、藤田が何もしないため岩本くんに頑張ってもらうしかない。
「この後腸膜を切開していくから、これより臭いキツくなるけど我慢できる?」
「え? は、はい……」
岩本くんは涙目だ。岩本くんのためにも患者のためにも早急に終わらせないと。