イケメン外科医が激しく寵愛してきます。【メイン更新中】
『もしかしたらS状結腸膨張しているかもしれません』
鉢目先生の言う通り、S状結腸は固く拡張していた。
岩本くんも頑張ってくれて、なんとかモノポーラで膜を開けることができた。と、同時に茶色く濁った液体が溢れてくる。
「うっぐ!?」
明らかな臭さが手術室に広がる。岩本くんは今にも倒れそうになりながら耐えていた。
「岩本くん、吸引できる?」
「あ、はい、いっ……」
手が震えながらも、吸引管で液体を吸ってくれている。にしても、臭いが酷い。器械出しの看護師、麻酔科医の安達さんに表情を向けると顔を歪ませながら臭いをこらえていた。
「もっと奥まで強く吸って」
「は、はい」
岩本くんに指示を出しながら、
『汁が落ち着いたらモノポーラで膜を剥がして下さい』
鉢目先生の言う通り手際よく進めると、茶色く濁った原因とは違う何かに指が当たった。それを鈎ピンを使って摘出していく。出てきたのは灰白色の繊維製固形物だった。
「な、なんです、これ」
さっきまで臭いで気絶しそうになっていた岩本くん。臭いに慣れたのか出てきたものをマジマジと見ていた。
「変色した紙? みたいだね」