イケメン外科医が激しく寵愛してきます。【メイン更新中】
「うん。俺もちょくちょく患者さんの様子見に行くし。何かあったら連絡してって伝えてて。患者さんの様態や手術の手順とかカルテにも打ち込んどくから」
「は、はい。あ、あの。久我先生……あ、いえ。なんでもないです。お疲れ様でした」
何かを言いかけた後にまた俺にペコッと頭を下げた岩本くん。
何か話したいことがあるのだろうか。それとなく岩本くんに、「岩本くんはもう上がれるの?」と聞くと、またしても興奮気味に「はい!」と答えた。
「俺、外科の医局室で術後のカルテ書いてるから。終わったらおいで。外にご飯食べに行こう」
嬉しそうに目をキラキラさせる岩本くんは、「はい! すぐ行きます!」と元気よく返事をした。
岩本くんは素直で健気で分かりやすい。それに比べて幸野は何を考えているのか分からないし、時々俺には露骨にイヤな顔をする。
だからいつまで経っても幸野の連絡先を聞くことすらできないし、会話も、今日を迎えるまでろくにしたことがなかった。
女心は分かってきたつもりだけど、幸野に至っては全然分からない。