危険な彼に焦がれて
第1章
居場所をくれた人
【珠那side】
私の心は真っ黒に染まっている。
父は会社が倒産し自殺、母は詐欺に遭い自殺。
いずれにしろ、両親は自殺で亡くなった。
私に残ったものといえば、莫大な借金だけ。
その借金のことで毎日借金取りが家に怒鳴り込みにきた。
殴られたり、煙草を身体に押し付けられたり。
そのせいで、私の身体は煙草と殴られた痕だらけ。
そんな状態で心が綺麗でいられるはずもなく、私の心に闇を落としていった……
*
「珠那ちゃん!」
今は学校。
教室に向かうため、廊下を歩いていた私に誰かが声をかけた。
「愛美。おはよう」
「うん、おはよう!」
振り返ると、そこにいたのは友達の愛美だった。
と言っても、本当の意味で友達と呼べるかは分からないけど。
< 1 / 37 >