危険な彼に焦がれて
愛美の答えを見せてもらうんじゃなく、教えてもらってでも解こうとする姿勢はいいと思う。
なんて、そんなこと愛美には言えないけど。
「ありがとう、珠那ちゃん!」
妬ましく思う気持ちはあるけど、こういうところは眩しく感じる。
それと同時に、こんな純粋な愛美を騙しているように感じられて、罪悪感も芽生える。
私の感情は複雑だ。
「珠那ちゃん、ここが分からないんだけど……」
「ここは……」
愛美が分からないと言ったところを教えていく。
「なるほど!珠那ちゃんの説明って先生よりも分かりやすいよ!」
「それは言い過ぎ」
「言い過ぎじゃないもん!」
私の拙い説明で先生よりも分かりやすいなんてありえない。
「ほんとなのに~!」
愛美には不満げな顔をされてしまった。
でも、事実は事実だし。
「それより、次の問題に進まないの?」
「むぅ、進むけど!」
先生が教室に入ってくるまでそれは続いた。