危険な彼に焦がれて


怒りで目の前が真っ赤に染まった。


思わず手が出そうになるのを必死で堪えた。


「今日の分はもらうぜ」


怒りを抑えつつ、今日の分のお金を渡した。


「確かにもらったぜ」


「じゃあな、嬢ちゃん」


「ははっ、頑張れよー?」


下卑た笑みを浮かべてそう口々に言った後、去っていった。


途端に涙が溢れてくる。


「ごめん、お父さん、お母さん……守ることができなかったっ」


近所迷惑とかは考えることができず、久しぶりに声を上げて泣いた。


そこからの記憶はほとんどない。


気がついたら、治安の悪い繁華街まで来ていた。


私、いつの間にこんなところまで来ていたんだろう……

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