危険な彼に焦がれて
もう帰る場所も無くなってしまったから、禄に前も見ずに歩き続ける。
すると、ドンと誰かにぶつかった。
「チッ、てめえ前見て歩けや!」
「……すみません」
「すみませんで済んだら、警察はいらねぇんだよ!どうしてくれんだ!」
どうしろと言われてもね……
私にあるものと言えば、情報屋として稼いだお金くらいだ。
それしか渡せるものはない。
「ん?てめえ、よく見たらガキのわりに綺麗な面してるじゃねぇか!お詫びにヤらせろ」
下卑た笑みにさっきの借金取りの人達が思い浮かんだ。
私の身体に触れてきた手を払い落とすと、目の前の男の顔が怒りで真っ赤になった。
「てめえ、何しやがる!ガキがいい気になるんじゃねぇぞ!」
殴りかかってきた拳を受け止めた。