離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
「お兄ちゃん……っ」
「よかった、無事で。本当に」
「うん。お兄ちゃんは、どうして?」
「あぁ……それは――」
お兄ちゃんは安堵した声で説明しようと言葉を発したが、一緒にいた男性……さっきお見合い会場で助けてくれた男性が遮った。
「先ほどは挨拶もできず申し訳ありませんでした。私、兼光新と申します。東條社長の専属秘書と東條自動車株式会社にて経営コンサルタントをしています……まぁ今はお飾り同然ですが」
「そうなんですね、私は結城光寿です」
「存じております。まずは、私と社長がお見合い会場に乗り込む一時間前のことから話します。座ってください」
兼光さんに促されて私と東條さんは彼らの向かい側に座った。座れば兼光さんは、話し始めた。