離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!



「まず、私共、東條自動車株式会社とリゾートゆうきは新事業を共同でしておりました。その立ち上げ当時、社長はまだ就任してすぐのことでとてもお世話になったのです。まだ右も左もわからない私たちに沢山のことを教えてくださいました。まぁ、教えてくださったという大袈裟なものではなくて、助言のようなことですけど『年寄りの独り言』と言ってね」

「お父様が?」

「えぇ、それがとても嬉しくて。社長も私もそうやって言ってくださる方がいなかったものですから……だからどうしてもゆうきさんとの事業は成功させたかった。だけど、結城社長が事故に遭って亡くなったと聞いた時、とても落ち込みました。ですが、私どもよりも大変な思いをしておられるのはあなた方だ。なので、どうしているのだろうかと調べたのです。そしたら、結城社長には借金があり返済途中だったということとご息女である光寿様が理不尽なお見合いをさせられるという情報を入手したので。輝様に、借金の借用書を見せていただき、私たちが借金返済を一括でしまして光寿様を救出させていただいたのです」


 兼光さんはとても丁寧に話してくださった。それにお兄ちゃんも感謝していた。


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