離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
「光寿。……東條さんは、これまで通りリゾートゆうきと新事業を進めてくださるそうだ。それに、この兼光さんが経営コンサルタントとしてゆうきに来てくださると言ってくれてね」
「そうなの? 東條さん、ありがとうございます。何から何までしていただいて……」
なぜここまでしてくださるのだろうと疑問に思っていると「それでね、光寿さん」と東條さんが声を出した。
「これは結城社長が生前願っていたことなのだけど、君と私を結婚させたいと言っていた」
「……え?」
「お見合いをセッティングしたところまでは知ってるだろう? だから、その縁談を今結ぼうと思う。その代わり、リゾートゆうきが軌道に乗るまでサポートは惜しまないことを約束しよう」
そう言った六條さんは封筒から紙を取り出して私に渡した。その紙の一番下に書かれている保証人の欄にはお兄ちゃんの名前が記入してあるのが見えた。
「これは……」
「結婚しよう、光寿さん。ここにサインをしてほしい」
六條さんはさっきの笑みはなく、真剣な表情をして私に告げた。
保証人の欄にお兄ちゃんのサインと印鑑が押してあるということはこの結婚に賛成しているということだ。お兄ちゃんが良しとしたなら、私はこれに了承するしかない。
「光寿、六條さんなら、光寿を幸せにして下さるよ。父さんが選んだ人なら尚更だ。伯母様がいつ突撃してくるか分からない。六條さんなら守ってくださるよ」
お兄ちゃんに押されて私は頷いた。
「……わかりました、私はあなたと結婚します」
いや、お兄ちゃんが言ったからじゃない。
今日少しの時間だったけど、六條さんとお話しして私のためにしてくださって私は楽しいって思ったからだ。
こうして、私、結城光寿は……東條さんの妻・東條光寿になったのだった。