離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!



 ***


「お待たせ〜杏奈、待った?」

「えぇ? え、早っ! それに、雰囲気変わった?」


 運転手さんにこのカフェの近くまで送っていただいたので少し時間は掛かっちゃったけど、実家から来るよりは早い。


「杏奈、報告なんだけど……私ね、結婚したの」

「えっ!? 結婚!?」

「うん。報告遅くなってごめんね。バタバタしてて、報告するの忘れてたの」

「いや、報告はいいんだけど……もしかしてあのクズと結婚したの?」

「違うよ。まぁ、話すと長くなるから簡潔に言うね……あいつとは別れました、別れてすぐに両親が事故で亡くなって、伯母様に五十代のおじさんと結婚させられそうになったんだけど、色々あって東條自動車株式会社の社長さんと結婚しました」


 うん、簡潔だ……理解はできるよね。


「え、もう、色々情報が多いよ……というか、東條自動車の社長と結婚って! お嬢様だとは知ってたけど、そんなところの社長さんと結婚しただなんて」

「うん、自分でも驚いてるよ。今だに信じられてないし」

「だけど、納得したわ。だって、光寿ってめっちゃ可愛くなったし」

「そうかな、でも服の系統は変わったかも……南都さん、あっ、旦那様が全部、選んで購入してくださったから」  


 今日のワンピースも南都さんの好きな格好だ。ネックラインの細いリボンがフェミニンな印象を与えるピンタックワンピースだ。色も、パステルカラーで気に入っている。



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