離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
◇絶望のはじまり
私と南都さんの出会いは二年前のことだ。二年前の春、まだ肌寒い日が続いていた頃。
私、結城光寿は当時恋人がいた。学生時代からお付き合いをしていてもうすぐ結婚間近なんじゃないかと思っていた矢先に彼に浮気されてしまい彼は私の『家柄』しか見ていなかったことが分かり別れを私から告げた。
私の家は、リゾート会社としては有名企業『リゾートゆうき』の経営一族で父が社長をしており、幼い頃から、家柄で寄ってくる人が多かった。だけど彼は違うと思っていた。それなのに……彼も同じだったこともショックだったけど、自分の見る目がなかったことにも落ち込んだ。
「そんなに落ち込むなよ、光寿なら、もっといい人と出会えるよ」
「お兄ちゃん……帰ってたんだね」
この人は私の兄で、父の会社の次期後継者である寿樹だ。今は、父の友人の会社で働いており家から出て一人暮らしをしている。
「光寿が閉じこもってるって聞いたからね。父さんも母さんも、心配してたよ」
「迷惑かけてごめんなさい、しっかりしなきゃだよね……」
お兄ちゃんは「全然いいよ」と言って頭を撫でた。私は話を変えるためにお兄ちゃんの婚約者さんの話題にした。
「お兄ちゃん、今幸せ?」
「幸せだよ、光寿が恋愛結婚がしたいって駄々こねてくれてよかったわ」
「もうっ! お兄ちゃんったら……私が、その恋愛結婚できなくなったからって嫌味ですかー?」
恋愛結婚に憧れてお父様が決めた相手とは結婚しないと言って、喧嘩してお見合い結婚を阻止した私なのに……こんな結果になってしまって、本当最悪だ。
その後、私はある決意をしてお兄ちゃんと一緒に久しぶりに下に降りてお父様がいる書斎に行った。書斎に行くとお父様はお仕事をしていて「話があって」と言うと快く迎えてくださってソファに座るように促されて座る。