離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
「……光寿ちゃん? どうしたの?」
「なんでもありません、南都さん。支度されないと時間に遅れますよ」
「あぁ! 本当だね、ありがとう。支度をしてくるよ」
南都さんはリビングを出て自室に戻った。すると五分ほどで彼は紺のスーツを身に纏った完璧な状態でリビングにやってくる。
「南都さん。お弁当です」
「いつもありがとう。じゃあ、行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ」
玄関でお見送りをいつも通りにする。彼が玄関のドアを開けた時、「あっ、南都さん」と声を掛ける。
「どうしたの?」
「南都さん、今日は早く帰ってこれますか?」
「うん。今日は早く帰るよ、どうして?」
「話したいことが、あります」
「わかった。じゃあ、行ってくるね」
今度こそ南都さんは出て行って、車のエンジンをかける音がしてなんだか力が抜けて床に座り込んだ。