離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
「誰がそんなこと、言ったんだ……?」
「……っこの前、女の人から電話が来て……南都さんには、想い人がいるから離婚してほしいって言ってましたし、結婚してすぐにお義父様も、父に恩があるから結婚することを決めたって」
「……君はそれを、信じたのか」
その声はとても低くて、今まで聞いたことのない声だった。思わず、ビクッと肩を揺らしてしまうがここで怯んでしまったらいけない。
「南都さんが、会食で遅くなって帰ってきた時に電話の声、聞いてしまったんです。……愛してるって、子供のようなものだからって誰かと話してましたよね? 立ち聞きしてしまったのは本当に申し訳ありませんでした。でも愛してる人がいるのなら別れないと、って思って、だから……我慢しないでください」
私が言っている途中で差し出した離婚届を彼は手にとる。あぁ、やっぱり愛してる人がいるのかって思ったら泣きそうになる……あ、そういえばボールペン……
「ボールペン、持って――」
持ってこようと立ち上がるが、私が言った言葉も遮られた。