離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!
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両親が葬式にはたくさんの方が来てくださった。今までで会ったことのある方もいた。こんなにもお父様とお母様のことを慕ってくださる方がいて、参列してくださったのは本当に嬉しかった。
葬式が終わって数日後のこと。一人の女性がやってきた。
「光寿ちゃん、寿樹くん。今回は大変だったわね」
「薫子伯母様。ご無沙汰しております……きてくださりありがとうございます」
「私はあなたたちのお父さんの姉よ。きて当然じゃない」
薫子伯母様は手を合わせてくれたけど、お父様を嫌っていたはず。なぜ来たのだろう……そう思った矢先。思いもよらないことを言った。
「可哀想ね、あなたたち。亡くなったお父様の代わりに借金を返すことになっちゃったなんて」
「……借金? 借金ってどういうことですか?」
「知らなかったの? 借金はね、私たちの父、あなたたちからしたら祖父の代からある借金のことよ。今一生懸命返していたところなんじゃないかしら、言ってなかったのね」
私は唖然として言葉も出ない。
お父様が借金? 借金って、そんなの聞いてない……だってお父様が借金を抱えているのなんて見えなかった。