奈落の果てで、笑った君を。
だとしても鍵が開くわけでもなく、固く閉ざされたまま。
グラッ───、
一瞬、柵が傾いた。
「っ!」
思わず端にうずくまっていた身体を起こして、本能のまま柵まで向かう。
あつい、熱い、このままでは焼かれてしまう。
こんなにも熱い感覚は初めてだ。
世の中にここまで肌をも燃やすようなものが存在するんだ。
ガッ───!!
柵を蹴ってみる。
こんなことをすると、いつもであれば見張り役が手にした木の棒で打たれる。
でもそんなものが今日は無い。
すると余計に傾いた柵は、とうとう形を崩した。
「うあっ!」
こんな色を見たのは初めてだ。
何色というんだろう、この色は。
きれいだ、こんなにも綺麗なものがあったんだ。
「すごいっ、すごい……!」
なにより明るい。
メラメラと燃え上がる炎に反射して、うっすらと自分の影が見える。