奈落の果てで、笑った君を。
ほら、だってクソガキって言わないもん。
いつもならクソガキクソガキって言ってくるけれど、今日はなんだか機嫌が良さそう。
とりあえずわたしはいつものとおり朝食に手をつける。
みんなは朝はやくに集会があったとか何とかで、とっくに食べ終わったらしく、わたしが黙々と口に運ぶ姿を見つめてきた。
「ねえ佐々木さん。やっぱり朱花はその日はここにお留守番ですか?」
あっけらかんと言い放った桂。
その日ってどの日なんだろう。
よく分からないけど、今はご飯が美味しい。
「…そう、ですね。なにがあるか分かりませんから、お留守番が妥当でしょう」
「でもあれじゃないですか?いつもこんな男所帯で生活して、とくに友達とかも居ないっぽいですし。たまには変わったことをさせてあげたくなりません?」
「…俺もそれは良い案だと思います」
「お、朱花のことだからって珍しい相づちが返ってきたよ」
桂からの尚晴からの、また桂で終わった。
尚晴は無駄な会話を弾ませないところがあって、こう見ると余計に桂とは正反対だ。