奈落の果てで、笑った君を。
桂の長いグチグチな説明をサラッと流しながら、わたしは首をふるふると横に振る。
「あつかったの!」
「聞いた聞いた。俺にもまた繰り返せって?」
「ちがう!身体が熱かった!」
「……はい?君はバカなの?最初から風邪引いてたのに川に飛び込んだってこと?
ねえもう、ノブちゃーん、この子バカすぎるんですけどー」
今の時間、尚晴はジュンサツに行っていた。
だから代わりに桂が看病をしてくれているのだけど、何度も何度も押さえ込まれるだけ。
「…ちがうもん」
尚晴の顔を見ると左胸あたりが嬉しくなって、尚晴とお話するともっと嬉しくなる。
でも笑顔を見ると、どうしてかきゅううっと、大変なことになって。
いちばんは抱きしめられたことを思い出すと、バックンバックンと、わたしの左胸はまるで動物が檻から出たがっているみたいに飛び跳ねる。
そしてひとりでお散歩に出かけたとき、ずっと尚晴のことを考えてしまっている自分。
するとだんだん身体が熱くなってきて、とうとうわたしは冷ますためにも川へ飛び込んで今。