奈落の果てで、笑った君を。
「うーん、さすがにこの様態だと祭りは厳しいんじゃないかい?まずはしっかり風邪を治すことだね」
「ノブちゃん!おとーふ?」
「風邪のときはお粥がいちばん。さ、よく冷ましてから食べるんだよ。
……って、桂くん、この状態でどうやって食べてもらえばいいんだい…?」
「あー、俺が無理やりにでも食べさせまーす」
ノブちゃんのお粥は美味しいから大好きだけど、やっぱりわたしの気分は戻らなかった。
だって今日、町ではオマツリというものがあるらしい。
近所の子供たちは先日、ウキウキと瞳を輝かせて話していた。
気になったわたしはそれはどういうものなのか聞いてみると、夜なのに明るくて、すごく賑やかで楽しいものらしい。
そして夜空いっぱいに咲く、満開の大きな花が見られると。
「すみません今井さん。朱花の様子は…」
そこで急ぎ足で戻ってきた尚晴。
「尚晴!もう治ったよ!だからオマツリ───、っ、」
「…まだ熱いな。今日はゆっくりしていろ。俺も巡察が終わったから看てやれる」
「わ、…わ、」