奈落の果てで、笑った君を。




布団にぐるぐる巻きにされ、身体が固定されたわたしのおでこや首に手を当ててくる。

そのたびに尚晴の香りがふわっと届いて、もっともっと身体は熱くなるばかりだった。



「ちょっとちょっとー。ここまで大人しくさせたの俺なんですけどー」


「…なぜこんなにぐるぐる巻きなんですか。もっと優しくしてやってください」


「これが俺の最大の優しさなんだよねー。だって暴れまくるんだもんクソガキは。
でもほら、ちゃんと呼吸はできるようにしてあるから安心して」



そんなあられもない姿のわたしを見下ろして、ふっと目を細められてしまえば。



「えっ、また上がってきたんじゃないかい…?すぐ桶に水を…!」


「あっ、今井さん俺が…!……すみませんお願いします」



わたしの熱はぐおーんと、急上昇。

慌てたようにノブちゃんは部屋を出て行って、尚晴は心配そうに見つめる。



「えへへっ、尚晴の手…きもちいーねえ」



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