奈落の果てで、笑った君を。
「…優しく、する」
「やさ、しく…?なにを…?」
はあっと、わたしよりも熱い吐息が落ちてくる。
さっきもずっと優しかったよ?
これは優しくできないものなの…?
尚晴?ねえ、尚晴…?
と、わたしが聞けば聞くほど、その瞳の熱は深みを帯びていった。
「さあ俺という存在をすっかり忘れている尚晴くん。果たして彼は自分のアレをアレにして、なにも知らない少女を啼かせることができるのだろうかー」
という、実況。
ピタリと止まった尚晴。
「……っ、……、!!」
目を大きく開かせた表情は、今になって状況を理解しているみたい。
そのまま視線をそーっと、もうひとりの男へと移す。
「ん?どうぞ?ああ俺のことは気にしないで。なんだったらそういう作法のひとつくらいは教えてあげたっていいしー」
「っ…!!俺は……なに、を」
サッ!!と、視界は開けた。