奈落の果てで、笑った君を。




頭がぼうっとする…。

目の前がチカチカするし、でも尚晴が離れちゃって寂しい…。



「忽那くん遅くなってすまないね。隊士たちで井戸場が混み合っていて……って、どうかしたのかい?」


「…今井さん、それお借りします」


「へっ?ちょちょちょっ、忽那くん…?」



ノブちゃんから桶を奪い取った尚晴は中庭へ降りる───と。



「えええっ!!忽那くん!?」



ザバンッッ!!

せっかくノブちゃんが持ってきた桶の水を頭から自分で自分に降りかけちゃった…。



「はははっ!できれば下半身の一定箇所のみを浸けるべきじゃない?」


「…黙れ早乃助。斬られたいか」


「はやく着替えないとだよ忽那くん…!たとえ夏とはいえ君まで風邪を引いてしまったら大変だ……!」



ふふっ。
たのしいなあ…。

くるまれた布団のなか、わたしはゆっくりとまぶたを閉じた───…。



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