奈落の果てで、笑った君を。




こてんっと首を倒したとき、夜空を大きなハナビが彩った。

そしてパラパラと落ちてゆくと、桂はトントンと肩を組むように叩いてくる。



「それはダメなもの…?」


「ぜーんぜん。むしろ素敵なものー」



この人の語尾が伸びるところ、わたしは嫌いじゃない。



「つまり、君は尚晴のことがいちばん大好きってことだろう?」


「うん!」


「おお、素直すぎて逆に応援しまくりたくなるわー。ってことで、その大好きって気持ちを隠さず伝えつづけることが大切なんだよ朱花」


「どうやって?」


「簡単なことじゃないか。抱きついたり、言葉を贈ったり、んー、なんて説明すればいいんだろうなあ。
とりあえず、包み隠さず真(まこと)の気持ちで接すればいいのさ」



俺たちが生きてる今だからできることかもしれないんだから───と、伏し目がちにポツリとこぼした桂 早乃助という男。



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