奈落の果てで、笑った君を。




どうやらわたしのぶんの食事にだけ、木や砂が入っていたらしい。


実際は飲み込むことができなくて。

味のついた小枝を噛んではちゅーちゅー吸っていた。



「てかなんで食べちゃうのさ朱花も」


「いつも硬いご飯たべてたから!」


「……はい俺のあげるから。よしよし」



わたしの膳にコトリと置かれた、桂のおとーふ。

ありがと!と、わたしの声だけが陽気に響いた。



「本当にすまない朱花…。僕の不注意で…、もしかすると誰かがわざと入れたのかもしれない」



ノブちゃん、どうして謝ってるの?

こんな味のご飯もあるんだって知れて、すごく嬉しかったのに。



「……、」


「しょうせい?」



なにかに気づいて立ちあがった尚晴は。

部屋を出て、どこかに行ってしまった。



「これはお前の仕業だろう」



そして再び戻ってきた彼が逃がさないように腕を掴む女の子は───、



「ハツネ」


「っ、」



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