奈落の果てで、笑った君を。
「これっ、川で拾ったきれいな石!それでこれが先っぽがふわふわしてる草で、こっちはどんぐり!あと少ないお金!いつもみんな貰ってくれないのっ」
今のところあるぜんぶをハッちゃんの前に並べて見せた。
お散歩はこんなにもいろんな発見が溢れているんだよ。
見たことない植物や、いい匂いのする花、笹の葉で船を作っちゃうことができる人とお話したりして。
「えー、いつもこんなに持ち歩いてたの朱花」
「うんっ」
「…いいなー、俺にも何か譲ってくれる?」
「ダメ!これはハッちゃんにあげるの!」
わたしの宝物である物たちを一通り眺めた桂は、まぶたを伏せるように微笑んだ。
「ハッちゃん、わたしはこれくらいしか持ってないけど……、泣き止んで…?」
ハッちゃんが髪に付けているキラキラしたものなんか、ひとつも持っていない。
お金の稼ぎ方も知らなくて、ハッちゃんみたいに美味しいご飯を作れるわけでもない。
ハッちゃんから見たら、変な人間かもしれないけれど。
「朱花、いちばん大切にしている宝物を見せてやったらどうだ」
「……あっ!」
尚晴に言われて、わたしは自分の部屋から風車を持ってきた。