奈落の果てで、笑った君を。
「よし、とりあえず休憩だ。昨日買ったおはぎがあるから食べよう」
「やった!おはげ!」
「…おはぎ、だ」
透き通る浅瀬で顔をパシャパシャと洗って、カラカラの喉にも通す。
途中までは船を使ったりもしたが、正直わたしは歩くほうが好きだった。
船という乗り物は揺れに揺れて気分が悪くなっては仕方なくて。
そんなわたしを見た尚晴が路線変更を考えてくれて、こうしてほとんどを徒歩で向かっていた。
「あとどのくらいで着く?」
「江戸よりは近いから残り3日ほどだ。ただ…できれば朱花は町へ着いたら覆面をしてほしい」
「うんっ」
「…悪いな」
今は山道のため外してはいるが、人通りが多くなってきたら顔を覆えと言われていた。
そこに関してはとくに気にすることもなかったため、言われたとおりに。
「今日と明日はまた外で夜を過ごすことになるが…平気か?」
「うん!たのしいよ?」
「…そうか」