奈落の果てで、笑った君を。
夜更けの血
10日以上かけてようやく、目的地である京の都へ到着した。
自分の足だけを信じて進んだ道は苦ではなく、それどころか楽しさ満載で。
「このまま道なりに進んでいけば大通りは見えてくるはずだ」
「うんっ、ありがと!」
ひとつ、わかったことがある。
江戸を出るときも言われたように、どうにも自分には“アイキョ”というものが備わっているらしい。
道中道中で出会う人間たちは、最初は疑いの目を向けてきたとしても。
こうして最終的には道案内してくれるような。
「おせわになりました」
ここでもお辞儀をすると、「おいおい、そんなのやめてくれよ」と返ってくる。
「身ぐるみ剥いで持ってるものかっさらってやろうとしてたってのに。ははは、逆に俺が分け与えちまった始末だ」
お腹が空いてどうしようもなくなったとき、彼が持っていた握り飯を分けてもらった。
火を通せば食べることができそうな動物の死骸を見つけたときなんかも、着火法を教えてくれたのは彼だ。