奈落の果てで、笑った君を。




時代は、荒れ狂う。


対立していたふたつの大きな藩が手を結んだ薩長同盟。

政権が幕府から朝廷へと返される大政奉還。


のちに幕末という世を作った大きな出来事は、わたしのすぐ目の前にあった。


幕府の情勢は悪化し、権力も衰え、新しい世を作ろうと立ち上がる男たちが生まれる。



ひとりは、日本を洗濯すると立ち上がった者。


ひとりは、本物でなくとも誠の武士になろうとした者。


ひとりは、己の責務を全うするため、幕府のために戦う者。


ひとりは、自分の流す血と涙が、いつかの未来を作ってくれと懸けた者。



そうして残るひとりは、迷い葛藤し、後悔し、それでも胸に抱いた気持ちだけは間違いではないと。

誰にもそうは言わせないと、ただ少女を守るためだけに走った者。



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