奈落の果てで、笑った君を。




へーすけが選んだゴリョーエジは、天皇を守るための組織でもあるらしい。



「対する新撰組はどうしたって幕府に付かなくちゃならない。
オレは近藤さんや土方さんは人としては好きだけど…、立場で見た場合は違った」


「じゃあ本当は離れたくなかったの…?」


「……それを言ったらお仕舞いじゃね?せめてそれくらいは武士らしく生きさせろって」



ははっと笑ったへーすけは、わたしが好きじゃない顔で笑っていた。


離れたくなかったんだ。
本当は新撰組にいたかったんだ。

人を選ぶか、立場を選ぶか。


その分かれ道で迷って下した決断は、どこか後悔しているようにも見えた。



「へーすけ、セイケンが幕府のものじゃなくなったら……どうなるの?」



幕府とは、言ってしまえば徳川ということだ。


もしそうなった場合は徳川家はどうなっちゃうんだろう。

あのお城は、もう意味を持たないものに変わってしまうのだろうか。



「そりゃあ、…新撰組も見廻組も、終わるしかねーだろうな」


「終わる…?」


「んー、……斎藤くん、頼んだ」



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