奈落の果てで、笑った君を。




「オレもう新撰組じゃねーから、逆にまたいつでも会えるぞ」


「えっ、本当に!?」


「おう!」



じゃあつぎ会うときは、へーすけに買ってもらった風車を持っていこう。

そのときはこんな話なんかしないで、楽しい話だけをしよう。


わたしがいつも見ている綺麗な景色を教えてあげよう。


そこには見廻組のみんなも、新撰組のみんなも、ゴリョーエジのみんなだって連れてきてもいい。

そうすればきっと、みんながみんなに優しくなれるから。



「あすか……?朱花…!忽那っ、桂っ、朱花がいたぞ……!!!」


「そこっ、あそこにいる!!」



─────そんなとき。


たくさんの影。

ゆらゆら揺れている影たちは、橋の上からわたしを発見すると勢いよく向かってくる。



「「───朱花!!!」」



そのなかでもとくに聞き慣れた声がふたつ、わたしの名前を大きく呼んだ。

そして目の前まで全力疾走してきた片方は、ガクガクと肩を揺らしてくる。



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