奈落の果てで、笑った君を。
土方さんだったら殺されたぜ───と。
道中で出会った男よりずいぶんと若い風貌のクミチョウは、鼻で笑う。
「ひじかた?」
「は?マジ?知らねーの?…って、悪いけどオレたちはお前みたいな田舎者に付き合ってやれるほど暇じゃねーから」
スッと、鋭さを帯びた眼差し。
「退いてくんね?」と付け足された、冷ややかな声。
それでも自分が差し出したお金では足りなかったのかと、そういう意味でおれは項垂(うなだ)れていた。
「へえ、新撰組八番組組長を前にして退(ひ)かねえってさ。なかなかいい度胸してんじゃん」
「しんせんぐみ…?それはなに?」
「おいおい正気かよお前」
チャキ───、
呆れたように嘲笑ったかと思えば、男はとうとう腰に差されたひとつに手をかけた。
「たとえ女だろーが、楯突く者は斬り捨てる。それがオレたちだぜ」
「わあ!これってなに?おれも欲しい!」
「………」