奈落の果てで、笑った君を。
「そーだそーだっ!今すぐ帰れ!!」
「ここはお前らなんかお呼びじゃねーんだよ!!」
「なにが尾張藩だっ!!こんなことしてる暇あんなら、薩摩と長州をさっさと片付けたらどうなんだ!!!」
只三郎だけじゃない。
みんなの声が、門から聞こえてくる。
「貴様ら…!我々に楯突くというのか…!!!」
「うあ…ッ!!」
ドンッ、ガシャンッッ!!
何かが倒れた音。
もしかすると門に飾ってあった鉢が、取り出された武器によって倒されてしまったのかもしれない。
それか……人間?
人が斬られちゃった……?
「尚晴っ、離して…!」
「駄目だ。みんなを信じろ朱花」
「やだ…!誰か死んじゃったかもしれないから…っ」
バタバタと暴れるわたしを、力ずくでも押さえてくる。
「あーあ。この鉢、ノブちゃんが大事に手入れしてたってのに…」
「…いいんだよ。これくらいで済むのならね」
そんなふたりの声も聞こえてくる。
みんながそこにいるんだ。
それなのに、わたしだけがこんなところで大人しくしているわけにはいかない。