奈落の果てで、笑った君を。
ひとり、ふたり。
返り血が頬を染めて、地面に残った雪が赤色に変わってゆく。
呼吸をする暇があるのなら足を動かせ。
一息つく暇があるのなら、刀を握れ、振れ。
「ぐ…ッ!!」
左肩を通り抜けていく、1発。
そして俺の身体がぐらりと怯んだところを、容赦なくもう1発が脇腹に埋まった。
ぶはっ、と、喉の奥から吹き出した血が口内を溺れさせた。
「……ガハ…ッ!!」
すごい、後悔してない。
あのふたりを逃がしきれたこと、それだけでこんなにも満たされるんだ俺の武士道ってやつは。
刀ひとつ相手に幾つもの銃。
聞くだけで、この戦の行く末など目に見えていた。
「こいつ…ッ、なぜ倒れないんだ…!!おのれ敗者のくせに……っ、ぐああ…っ!!」
最後のひとりを突き刺す。
ここまで共に生きてくれた相棒、最期の最後まで俺と戦ってくれた相棒。
この剣を最後、仲間を守るために使えたなら上々だろう。
「とりあえず……は、…片付け、たよ…」
ドサッと、すぐに俺も追いかけるようにその場に倒れた。