奈落の果てで、笑った君を。




『ねえ佐々木さん、尚晴と朱花だけは逃がすこととかって…できません?』



そして君は、誰よりも仲間思いだったね。

あのふたりの離脱を私に投げかけたのは他でもなく、早乃助だった。



『私もそれは考えていないことは無かった。ですが尚晴の戦力を失うとなると……今すぐには決断できかねる』


『やだなー、だから俺がいるんじゃないですか』


『え…?』


『俺が……尚晴のぶんまで戦いますよ』



きっと君は私に謝りながら死んでいったのでしょう。


約束を守れなくて申し訳ない、と。

見廻組のために貢献できなくて申し訳ない、と。


そんなことありませんよ、早乃助。

君という人が居たからこそ、私たちは楽しかった。

そんなことをもっと伝えてあげるべきだった。


────私のほうが申し訳ない、早乃助。



「見廻組、出陣せよッ!!!」



圧倒的だった。

こちらは数としては揃っているが、次から次に倒れてゆく。


構えられる銃口、そこから発射される弾を避けきるなど不可能だった。



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