奈落の果てで、笑った君を。




だとしても気は抜けない。

もうここにはわたしと尚晴しか居ないのだから。


庇ってくれる仲間たちも、新撰組だって居ないんだ。



「…こんな時間に何の用だ」


「お、誰か住んでんのか。わりぃわりぃ。実は人を探しててよ」


「…ひと…?」


「ああ。15か16あたりの風貌をした娘を見なかったか?指名手配犯として幕府が探し回ってるらしくてな」


「……見ていない」



暗くてよく見えなかったが、現れた男たちが手にする1枚の紙切れに描かれた似顔絵のようなもの。

わたしに良く似た人物が描かれていることだけはなぜか分かってしまい、ドキリと緊張が迫ってくる。



「もう遅い。他を当たってくれ」


「そういうわけにはいかねェんだよなァ。だってよお、なんでここの小屋に人が住んでんだ?」


「…ここはずっと前から俺たちの家だが」



嫌な予感がする…。

逃げたほうがいい、逃げなくちゃだめ、直感が知らせてくる。



「おかしいなあ。ここは、今朝まで俺たちが使ってたんだけどよ?……なあ?」


「っ…!!」


「ぐはっ…!!」


「てめェ…!なにしやがる…!!」



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